ジャカルタ・アジア大会は第9日の26日、陸上の男子100メートル決勝があり、山県亮太(セイコー)が10秒00(追い風0.8メートル)の自己ベストで銅メダルを獲得した。日本勢では2014年の仁川(韓国)大会の高瀬慧(富士通)の銅メダルに続く2大会連続のメダル獲得となった。蘇炳添(中国)が大会新記録の9秒92で優勝した。
自身2度目のアジア大会でメダルこそ獲得したが、蘇炳添に先着され、T・オグノデ(カタール)との競り合いに惜しくも敗れて頂点はつかめなかった。「アジアで1番になれば世界の決勝に近づく」と意気込んでいた山県にとって悔しい結果になった。
前日の予選では、アジア記録保持者で前回優勝のフェミセウン・オグノデ(カタール)の弟のT・オグノデにスタートからリードを許したが、自ら映像を見返して一晩で修正した。大一番では低く鋭く飛び出す得意のスタートを見せた。
山県の理想は重圧のかかる状況でも常に同じ動きができる「再現性」。そのために日ごろから走りでもウエートトレーニングでも自分の映像を見てフォームを確認し、課題を修正する作業を繰り返している。培ってきた調整力が生きた。
山県はレース本番で極度に緊張するという。大舞台になればなるほど緊張も高まる。しかし、それを否定的に考えない。「スタート直前に緊張の度合いが振り切れて最後は開き直る。一生懸命やってきたから負けてもいいや、と」。すると、周囲の選手は意識の外へ消えて、自分の走りにだけ集中できる。それはレースまでにベストを尽くしたからこそたどり着ける境地だった。
今大会へ向けては体調も完璧だった。昨季の山県は3月に右足首を痛めた後、無理に練習を続けて回復が遅れた。世界選手権代表からも漏れる悔しいシーズンとなった。今季は「少しでも気になる部分があれば練習はやらない」と決めた。7月の欧州遠征中に左脚に違和感が出ると「アジア大会が大事」と予定を切り上げて早めに帰国した。悪化することを未然に防ぎ、今大会にピークを合わせた。
仁川大会の100メートル決勝では、直前に左股関節を痛めたことも影響して6位と不完全燃焼に終わった。アジア一の座は逃したが、4年間で成長した姿を示した。日本選手団主将の重圧を背負っての好結果でもある。20年の東京五輪へ向け、着実に一つ段階を進めた。【小林悠太】
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