2018年8月25日土曜日

ラストスパートで快挙 井上マラソン金

 ジャカルタ・アジア大会は第8日の25日、陸上の男子マラソンで井上大仁(MHPS)が2時間18分22秒で優勝した。後半のペースアップへの対応と強い精神力によるラストスパートが日本勢で32年ぶりの快挙につながった。

 37キロ過ぎから続いたエルハサン・エルアバシ(バーレーン)との一騎打ちはトラックまで持ち込まれた。「『アジア大会で勝つ』と言ってきた。目の前にチャンスが転がっている。どうしても勝たないといけない」と言い聞かせ、疲れた足を必死に動かした。

 胸中には2月の東京マラソンでの悔いがあった。日本歴代4位の2時間6分54秒を出しながらも16年ぶりに日本記録を更新した設楽悠太(Honda)に競り負けた。ライバルの快挙をフィニッシュ直前に場内アナウンスで聞いた。レース翌朝、「悠太さんは足を引きずっていたが、自分は元気だった。力を出し切れたかどうかの差で、目の前のチャンスを取りこぼした」と悔しさを打ち明けた。

 練習から先輩と競り合い、同僚に厳しい言葉を投げかけることも辞さないほど負けん気が強い。ジャカルタの地で巡ってきた雪辱の機会を逃すわけにはいかなかった。全身全霊をかけたスパートが鮮やかに決まった。

 2020年東京五輪に向けて、ペース変化への対応も大きな収穫だ。アジア大会同様にペースメーカーがいない五輪では前半は遅く、30キロ以降に急激にペースが上がる。最近の日本勢は慣れないスローペースの前半で走りのリズムを崩し、後半のスパートに一瞬で離される負けパターンを繰り返していた。

 井上は違った。5キロごとのラップタイムは中盤まで16~17分台と遅かったが「イライラせずに余計な力を使わずに走った」と冷静に先頭集団についた。30~35キロと35~40キロはいずれも15分36秒とペースアップに対応した。

 争った相手はモロッコから13年に国籍変更し、前回の仁川(韓国)大会1万メートル優勝の実績もある。アフリカ勢の国籍変更ランナーが占めるバーレーンは東京五輪でメダルを手にするためには大きな壁だ。その一人に競り勝った井上は「勝ちパターンというか、一つの引き出しができた」と手応えを話した。

 それでも、井上は「足りなかった点を探していく」と次を見据える。19年9月15日が東京五輪代表選考会、20年8月9日が五輪本番。着実に準備を進める。【小林悠太】

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