2018年7月5日木曜日

稽古に変化、にじむ覚悟 稀勢の里休場

 5日、大相撲名古屋場所への休場を決めた稀勢の里は「来場所に全てを懸けて頑張っていきたい」と語った。昨年の夏場所以降、休場を決めた当日に口を開くのは今回が初めて。次に出る場所に進退を懸けるのかとの記者の問いかけには、「そういう気持ちでやっている」と力を込めた。秋場所への並々ならぬ覚悟をにじませた。

 名古屋場所に向けた稽古(けいこ)に臨む稀勢の里には、これまでの場所前とは異なる姿が見られた。前頭筆頭の正代や同2枚目の千代の国ら、本場所で対戦が確実な相手と胸を合わせた。2日には白鵬とも相撲を10番取った。出稽古で両横綱が顔を合わせ、その場で白鵬が誘って実現した。再起を期す、稀勢の里の懸命な姿勢が見えた。

 それまでの稀勢の里は、出稽古に行っても相手はほとんど幕内中位以下。本場所で対戦する可能性の高い上位力士の力量を推し量るといった明確な狙いが、見えなかった。

 稀勢の里の最近の変化は、精神的な「必死さ」の表れであると同時に、肉体的な復調を示すものでもあるだろう。長期休場の原因になった左大胸筋のけがで思うに任せなかった左腕も、「だいぶ自然に出るようになってきた」という。2場所連続で全休して回復に努めたこともあり、体はかなり戻ってきた。

 2場所連続優勝を遂げた昨年の春場所を最後に皆勤がなく、ブランクの長い稀勢の里にとって、絶好の機会になるのは名古屋場所後の巡業だ。相手にも恵まれる巡業で、勝敗にも横綱の地位にも拘泥することなく自らを追い込み、相撲勘を取り戻せるか。覚悟が問われる夏になる。【飯山太郎、藤田健志】

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