世界ランク27位の錦織圭(28)=日清食品=が昨年8月4日のシティ・オープン準々決勝以来、178日ぶりの公式戦勝利を挙げた。右手首故障から復帰2戦目となったシングルス1回戦で、同214位のデニス・ノビコフ(24)=米国=をストレートで撃破。前週の復帰初戦に比べてリターンが機能し、試合勘が戻っていることを証明した。
錦織は1週間前に負けたノビコフをしっかりと攻略し、178日ぶりの勝利を手にした。通常よりやや下がって低くグッと構え、200キロを超えるサーブを読みきった。「サーブリターンがすごく良かった。そこから得意のラリー戦に持ち込めた」と手応えのある内容。エースこそ前回対戦時と同じ11本を決められたが、第1サーブのリターンから43%を得点につなげた。
試合勘の戻りはショットにも表れた。甘い球に対し積極的に前へ出て強打を打つ場面が増え、ベースライン際への鋭いショットや巧みなドロップショットも随所で決まった。第1セットは3―3の第7ゲームをブレイクして押しきり、第2セットも3―3から3ゲーム連取するなど、1時間5分と短時間で試合を終えた。「バックが振れて、フォアもまだ課題はあるけど、しっかり打てているときもあった」と自信も取り戻しつつある。
全豪オープンで4強入りし「韓国の錦織」とも呼ばれる鄭現(21)の存在が刺激になっている。昨年末のネクスト・ジェネレーション(21歳以下が対象)ATPツアーファイナルで優勝し、全豪ではジョコビッチも破った。同じ米フロリダ州でジュニア時代に練習していた錦織のことを「憧れ」と話し、昨年の全仏3回戦ではフルセットのすえ何とか勝った。世界ランクでも29位と2差まで迫られたが「アジアで(上位に)2人いるのは今まであまりないことなので、すごくうれしい。切磋琢磨(せっさたくま)できる部分もある」と、成長を歓迎している。
1つ勝てたこと、プレーの精度が上がっていることはプラス材料だが、世界トップ10で戦っていたレベルにはまだ遠い。「内容はまだまだ。次に進むためにも今週まず頑張りたい」。連戦を戦い抜く体力もツアーに戻るには必須条件。復帰ロードはまだ始まったばかりだ。
◆錦織けがの経過
▼17年8月14日 練習中に右手首を負傷。当初は腱(けん)断裂と発表したが、尺側手根伸筋腱脱臼だったと判明。年内休養へ
▼同21日 世界ランクが9位から10位に下がり、14年8月25日付以来の2ケタに。(現在は27位)
▼9月1日 ギプスが外れる。ベルギーでリハビリを開始
▼同21日 通常より軽いラケットで打ち始める
▼10月末 米国の練習拠点に戻る
▼11月24日 日本で負傷以来初めてとなる公の場に登場。「なるべく1月から試合に出たい」
▼18年1月4日 全豪オープンの欠場と、復帰時期を発表
▼同23日 復帰初戦のツアー下部大会(米カリフォルニア州)1回戦で敗れる
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