2017年7月31日月曜日

【西東京】早実・清宮「次があるんだと、神様に言ってもらっている」U―18W杯に意欲

 高校通算最多タイとされる107発の早実・清宮幸太郎一塁手(3年)の夏が、甲子園目前で幕を閉じた。西東京大会決勝の東海大菅生戦で1安打を放ったが、自らのタイムリーエラーもあり、敗戦に涙をこぼした。U―18W杯(9月1日開幕・カナダ)の高校日本代表に選出されるのは確実で、“新記録”となる108号の期待は世界の舞台につながりそうだ。

 仲間への思いを問われると、こらえきれなかった。銀メダルを首にかけた清宮は「すみません」と言葉に詰まり10秒間、沈黙。こぼれる涙を抑えながら、絞り出した。「主将になって、いろいろ言ってきましたけど、こんな自分についてきてくれた。準優勝という結果だけど、日本一のチームだと思ってます」。早実愛がとめどなくあふれた。

 2点を追う8回1死。初球を右翼ポール際に紙一重というファウルの後、外角低め138キロの直球を振り抜いた。無安打1四球で迎えた第4打席。決勝はすべて走者なしの場面で、意地の右前打だった。「最後(の打席)とも思っていなかった。いつも通りつなぐ気持ち。一本出たので、そこに関しては納得しています」と唇をかんだ。

 ミスに泣いた。同点の5回2死一塁の守りで、三ゴロを1年生の生沼弥真人三塁手が一塁悪送球。ハーフバウンドの白球は清宮のミットの土手に当たり、フェンスまで転がった。背番号3のバックホームも及ばず、勝ち越しを許した。9回1死一塁では一ゴロで、清宮のベースカバーへの送球がそれ、5点目を献上。「生沼は1年ですし、あいつのせいじゃない。自分もエラーしちゃった。打撃でカバーできなかったのが敗因」と責任を背負った。

 ラグビー・ヤマハ発動機監督の克幸氏(50)を父に持ち、入学時から注目を浴び続けた。「つらさ? 全然ない。うれしかった。テレビとか新聞に自分が出てるのは変だなと思いましたけど。それがなかったら、今の自分もない。今までで一番濃い、たくさん成長させていただいた2年半だった」。100年を超える高校野球史でも、前代未聞の存在であり続けた。

 積み上げた本塁打は、高校通算最多とされる神港学園・山本大貴に並ぶ107本。「不思議と同じ数字でしたけど。数よりこのユニホームでできるのが最後。小さい頃から憧れてやってきて、残念」。早実初等部1年時に、06年夏の早実対駒大苫小牧の決勝再試合を観戦。「WASEDA」の公式戦は終わりを告げたが、高校日本代表1次候補に選ばれており、9月のU―18W杯出場が有力視される。

 開会式で「野球の神様に愛されるように」と誓った最後の夏。清宮は「これで終わりじゃない。次があるんだと、神様に言ってもらっている」。108号はラブレター・フロム・カナダかもしれない。(山崎 智)

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