2018年1月4日木曜日

【箱根駅伝】青学大エース下田、3年連続区間賞 親友の東大・近藤からのLINEに応えた

 青学大のエース・下田裕太(4年)が史上初めて8区で3年連続の区間賞を獲得し、V4に貢献した。中学時代からのライバルで親友の東大・近藤秀一(3年)は関東学生連合で1区を走る予定だったが、直前でインフルエンザを発症し棄権。近藤からのLINEに魂の激走で応え、史上最多となる3度目の10時間台を達成した。2位の東洋大は来年のV奪回を誓った。

 人生最後の箱根駅伝を迎えた朝、下田は親友のメッセージに気がつき、スイッチが入った。

 「4年間の集大成楽しみにしてるよ! 下田ならできるぞ」

 2日午後10時31分に届いた近藤からのLINEだった。朝練習に行く前の午前4時46分、一文だけ気持ちを込めて返した。

 「お前と走れないの寂しいけどがんばってくるよ!」

 同じ静岡東部の出身。近藤は1浪して東大に入学したため現在の学年は異なるが、中学時代からの知り合いで同い年だ。昨年11月下旬には近藤が青学大の強化合宿に特別参加。一緒に走れる最初で最後の箱根駅伝に向けて鼓舞し合っていた。だが近藤は大会直前にインフルエンザを発症し欠場。箱根に懸ける思いを知っているからこそ、心が痛み、心が燃えた。

 下田は8区15キロ過ぎ、難所の遊行寺の坂を力強く上り、1時間4分46秒で走破。目標としていた区間記録(1時間4分5秒)の更新はできなかったが、区間2位に1分31秒の大差をつけ、8区史上初めて3年連続の区間賞を獲得した。16年2月の東京マラソンで10代日本記録の2時間11分34秒をマークした実力者。箱根は4年間無敗で終え「いろんなものを教えてくれた箱根駅伝を最高の形で終えて、卒業できるのはとてもうれしい」と喜んだ。

 3年生だった昨季の出雲駅伝。チームは最上級生だった一色恭志、安藤悠哉、茂木亮太の活躍で優勝したが、3区を走った下田は東海大の関颯人に完敗した。その夜の祝勝会。珍しく酔い、泣きながら叫んだ。

 「4年生はすごい。下田裕太は4年生になった時、茂木さん、安藤さん、一色さんのような魂の走りができるのでしょうか!?」

 1年2か月前の自身の問いかけに、自ら答えを出した。チームのため、親友のため、下田裕太は魂の走りを見せた。(竹内 達朗)

 ◆下田 裕太(しもだ・ゆうた)1996年3月31日、静岡・小山町生まれ。21歳。中学時代はソフトテニス部。静岡・加藤学園高入学後、本格的に陸上を始める。3年時に全国高校駅伝3区35位。2014年、青学大教育人間科学部入学。2年時に急成長し、出雲駅伝4区6位、全日本大学駅伝5区1位、ベスト記録は1万メートル28分33秒77。169センチ、54キロ。

 ★タスキ繋いだ10人コメント

 1区鈴木 塁人(2年)区間5位「自分のペースとタイムが合わず、最初にハーモニー大作戦の音程を外しそうになったけど、粘り強さで耐えた」

 2区森田 歩希(3年)区間1位「区間賞は自分一人で取ったわけではない。他の人の力を借りた区間賞。5連覇に向けていい経験になった」

 3区田村 和希(4年)区間2位「昨年は体調不良で会見場に立てなかった。2年ぶりに来られた。走れる喜びを感じながら最後の箱根駅伝を走らせてもらった」

 4区梶谷 瑠哉(3年)区間9位「ペースが上がらずに力不足を感じる一年だった。ラスト一年は誰よりも努力するつもりで頑張っていきたい」

 5区竹石 尚人(2年)区間5位「往路4連覇を達成できずに残念。何回も止まったのはアスリートとして失格だと思う。来年も5区の山上りでリベンジしたい」

 6区小野田勇次(3年)区間1位「力を出し切った。ゴール後は力が入らなくて、こんなこと今までなかった。来年もプレッシャーに負けているようじゃいけない」

 7区林  奎介(3年)区間1位「きょうは調子がよかった。このチームのエースに近づけたのかなと実感した。満足せず、5連覇を目指して大学生活を終えたい」

 8区下田 裕太(4年)区間1位「4年生が強いチームが強いといわれる。自分の結果が出ない時はつらかったけど、4連覇して次につなげたのが大きい」

 9区近藤修一郎(4年)区間9位「最初で最後の箱根。後輩たちに支えられた。悔しい気持ちもあるけど最後に優勝できたのはいい経験になった」

 10区橋間 貴弥(3年)区間2位「ゴールテープを切れたのが本当にうれしい。5連覇に向けて気を引き締めたい」

 ◆青学大陸上部 1918年創部。箱根駅伝初出場は43年で最下位の11位。76年を最後に出場できない期間が続き、2004年に原晋監督が就任。33年ぶりに復帰した09年以降着実に力をつけた。12年に出雲駅伝、箱根は15年に初制覇。16年度には全日本を含む大学駅伝3冠を達成した。主なOBは5区で活躍し15、16年の優勝に貢献した神野大地(コニカミノルタ)ら。活動拠点は相模原市。

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