2018年5月27日日曜日

悪質タックル 日大再回答 「不可解」怒る関学大 膨らむ不信感

 アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の定期戦で起きた日大の悪質タックル問題で、日大アメフット部の再回答を受けて26日に記者会見を開いた関学大アメフット部の鳥内秀晃監督(59)は「(日大は真相を)解明する気があるのか」と怒りをあらわにした。【倉沢仁志、長宗拓弥】

 再回答でも内田正人前監督(62)ら指導陣の「壊してこい」などの指示を宮川泰介選手(20)が誤って解釈したという従来の主張を繰り返しており、記者会見に同席した小野宏ディレクター(57)は「極めて不可解」と不信感をにじませた。

 関学大側が最も疑問が解消されない点として挙げたのが、日大の井上奨(つとむ)元コーチ(29)による同選手への指示だ。計9ページの再回答書によると、井上元コーチは「相手クオーターバック(QB)を潰せ」との指示に負傷させる意図はなかったが、同選手は「けがをさせろ」と思い詰めて悪質タックルに及んだとしている。井上元コーチが「1プレー目で」と具体的に指示し、これを試合出場の条件に挙げたことにも触れて「同僚の選手の証言では、当該選手が本気でQBを潰す行為を指示されていると思い込んでいたことがうかがえる発言もある」と記述している。

 だが、本人へのヒアリングをせず、同選手の精神状態を反則の原因とする説明に、関学大側は「選手の尊厳を著しく損ねるもの」と非難。同選手の「反則は監督、コーチの指示」との主張と食い違ったままの内容に、小野ディレクターは「この差は埋めないといけない」と強調し、鳥内監督は「井上コーチが内田監督の存在を気にしている印象を受けた」と指摘して真実を明かすように求めた。

 関学大は22日に記者会見した同選手の発言を「一貫性も高く、極めて信ぴょう性が高い」と評価する一方、内田前監督と井上元コーチの23日の記者会見での主張を「信じるには根拠が不足」と断じた。「これ以上の問答は平行線」と、再々回答を求めないという。

 小野ディレクターは競技をやめる意向を示した同選手に対して「支援の可能性を模索したい」と表明した。けがをした関学大選手が、27日に関西大と対戦する関西学生大会で試合復帰する見通しであることも明かした。

負傷選手の父「疑義が残る」

 けがをした関西学院大選手の父の奥野康俊さん(52)は26日、日大の再回答書について「矛盾があって疑義が残り、到底受け入れられるものではなく、激しい憤りを感じる」と厳しい表情を見せた。一方、悪質なタックルをした日大の宮川選手については「世間から批判にさらされ、既に社会的制裁を十分に受けている」として、刑事責任を負うべきではないと主張し、同選手の寛大な処分を東京地検立川支部に求める嘆願書を集める考えを明らかにした。【新井隆一】

日大厳重処分へ 関東学連

 関西学院大の記者会見を受け、日本大は26日、「厳しい批判は甘んじてお受けします」とのコメントを発表した。規律委員会で調査をしている関東学生連盟も近く厳しい処分を発表する見通しだ。

 日大は21日に第三者委を設置して調査することを公表した。人選を進めており、この日のコメントでも「真相の解明は委員会の調査と結論に全てを委ねる」と表明した。内田正人前監督は日大常務理事の職を暫定的に停止され、謹慎している。進退は、第三者委の結論で日大に判断を委ねる考えを示している。

 関東学連は臨時理事会で、チーム、内田前監督、井上奨元コーチの処分を発表する方針だが、日程は固まっていない。関学大との定期戦(6日、東京)後の10日、内田前監督の処分を「厳重注意」にとどめるという初動のミスもしている。

 日大を含む1部リーグ所属16校による監督会では、長期出場停止を求める強硬な意見も上がっている。連盟幹部も「厳しくいかなければならない」と話している。処分には戒告、資格停止、団体活動の一時または無期限停止、除名などがある。【田原和宏、松本晃】

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