この一戦を前に、木村は自らを「雑草」と称した。相手の五十嵐は2004年アテネ五輪に出場するなどアマチュアで実績を残し、12年にWBCの世界王座に就いたエリート。中学時代に始めたボクシングを高校で一度やめ、23歳で再開した自分とは対照的な経歴の持ち主だった。
開始のゴングから前へ出続けた。相手を休ませないように、大振りのフックやボディーブローで攻め立てる。手数は衰えず、技巧派のサウスポーを消耗させた。
決着は9回。ワンツーでぐらつかせてコーナーに追い詰め、顔へ連打を集めて終わらせた。苦手意識があった左構えの選手と300ラウンド以上のスパーリングを重ね、「練習の成果」と誇った。
デビュー戦は1回KO負け。以後こつこつと実績を積み上げた。世界王座奪取は17年7月。五輪連覇の実績を持つ鄒市明(中国)を敵地上海で破る殊勲だったが、日本での知名度は高くなかった。
大みそかの日本人対決は名を上げる絶好機だった。「これからも見ている人が熱くなる試合をしたい」。華やかさはなく粗削りだが、常にKOの期待を抱かせる。そんなスタイルを力強くアピールした。(2017/12/31-22:40)

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