2018年3月24日土曜日

なぜそこに遊撃手が…? 甲子園驚かせた膳所データ野球

 (24日、選抜高校野球 日本航空石川10―0膳所)

 一回裏2死二塁のピンチ。膳所(滋賀)の遊撃手、渡辺大夢(ひろむ)選手(3年)が本来ならセンターに抜けようかという打球を正面でなんなくさばいた。

 「なんやこれ」。日本航空石川の小坂敏輝主将(3年)は守備陣形を見て驚いた。遊撃手が二塁後方にいて、本来なら遊撃手がいる位置に三塁手が立っている。「一歩間違えれば単打が長打になってしまうリスクもあるのに。それをこの大舞台で……」

 三回裏も三遊間に飛んだ安打性の打球を三塁手の平井崇博選手(3年)がアウトに。今大会最多の3万3千人の観衆がざわめいた。データに基づいた大胆な守備位置。膳所の野球がはまった。

 膳所は昨年4月、野球をしない分析専門の部員を募集、データ野球を本格化させた。「我々は個々の能力が高くない。勝つためには工夫が必要」と上品充朗(うえしなみつお)監督(48)。「カープ女子」の高見遥香さん(2年)と、分析に使うプログラミングに興味があったという野津(のつ)風太君(同)が入部した。

 2人はアウト数や走者の有無など、場面に応じた打球傾向を打者ごとに調査。高見さんが公式戦などを観戦してグラウンドを198に分割した表に打球の落下地点をまとめ、野津君がパソコンに入力する。

 こうした取り組みも評価されて、21世紀枠でつかんだ59年ぶりの選抜の舞台。日本航空石川が対戦相手に決まると、昨秋の石川県大会、北信越大会、明治神宮大会の映像などを調べた。さらに試合数日前には各打者の打球傾向や個人成績を見られるスマートフォンの専用アプリも完成。大胆な守備位置でピンチを防いだのは、データ分析の結実だ。

 序盤は互角に渡り合い、三塁側アルプス席をチームカラーの白に染め上げた声援に応えた。だが、中盤以降は相手の自慢の強打にじりじりと引き離された。石川唯斗(ゆいと)主将(3年)は「分析が強豪校にも通用することが分かった。でもデータは正しくても打球をさばききれないことがあった。技術を向上させてもう一度甲子園で戦う姿を見てもらう」と誓った。(石川友恵)

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