2017年11月27日月曜日

横審委員長会見詳報 日馬富士暴行問題

横綱審議委員会を終え、記者会見する北村正任委員長=27日、東京・両国国技館

◇厳しい処分が必要
 27日開かれた日本相撲協会の横綱審議委員会定例会合終了後、記者会見した北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)との一問一答は次の通り。
 -日馬富士の問題で相撲協会の報告を受けてどんな議論があったか。
 北村委員長 これまで(相撲協会の)危機管理委員会の調べてきたことについて報告を受け、それに関する質問をしたということ。危機管理委の調べたことはいろいろ報道されていることと一致することが多いが、まだ中間的なので、報告内容の詳細については控えさせていただきたい。
 -委員からはどんな質問が出たか。
 委員長 例えば調査が終わる時期、いつ頃までにとか、年内には終わるか、という質問があって、(協会から)「できるだけ早くと考えている」という説明があった。
 -意見や感想は。
 委員長 委員全体の空気として、やはり暴力があったということはほぼ間違いない、それが起こった経緯とか結果がどの程度かは調べなければならないが、暴力があった、協会がこれだけ暴力をなくす努力をしている最中にあった、これは非常に厳しい処分が必要だろうと。そういうことは委員会全体としてあった。
 -委員長自身の見解は。
 委員長 私も同じような意見です。
 -「厳しい処分」について具体的な話は。
 委員長 横審の規則の中に引退勧告とか休場させる(出場停止)とか、注意とか(の処分)があるが、具体的にどの処分が(適当か)という話には、きょうはなっていない。厳しい処分が必要だろうという抽象的な話。

◇白鵬にも苦言続出
 -白鵬の千秋楽優勝インタビューなどについては。
 委員長 全く異例のインタビューだった。万歳をしましたね。これだけ相撲協会が日馬富士問題で厳しい状況にあって、何で万歳ができるんだろうと。白鵬自身が日馬富士の暴行の現場にいたわけだし、場所中には11日目に物言いの問題を起こしたわけだし。優勝40回というのは白鵬にとって非常にうれしい記念すべきことではあろうが、みんなで万歳しましょうという空気はよく分からないなと。しかも日馬富士、貴ノ岩の2人を土俵に戻れるようにしたいとか、横綱といえども、まるで自分がそういうことを進めるようなことは言えないはずだと思う。言葉の問題もあるかもしれない。母国語で言えば少し別な言い方もあったかもしれないし、ただ願望なら、まあそう願っているんだろうなということで済むかもしれないが、何か自分ができるような感じで。しかも相撲界の「うみを出す」ですか。それが何を意味するのかよく分からないが、そういうことを言うのは何か横綱としておかしいのではないか、という意見が多かった。
 -稀勢の里と鶴竜については。
 委員長 厳しい意見というか激励というか。鶴竜はこの1年のうち1場所しかきちんと(15日間)務めていない。稀勢の里も非常に不本意な場所が続いているわけで、この状態が続くと横綱として地位を保全できるのかという問題にならざるを得ないので、しっかり体を治して次の場所以降に備えてほしい。激励という感じの発言が多かった。もう辞めろとか、そういう意見にはまだなっていない。中には、中途半端な体調で出てくるべきではない、(初場所も)休んでもいいから、きちんと治してから出てきてほしいという意見もあった。
 -これまでも完全に治してから出てほしいという声が多かったが、今回もそういう意見が大勢か。
 委員長 一人一人の意見を聞いたわけではないが、中にはそういう意見があったということ。完全に治るまで出てくるべきじゃないという声もあったということ。
 -稀勢の里、鶴竜に対する激励とは、横審で定めている決議の一つとしての「激励」か。
 委員長 正式な議決をしたわけではない。ただ、頑張れという意見がほとんどだった。
 -白鵬に対する意見も決議としての「注意」まではいかないということか。
 委員長 そうです。決議したわけではない。ただ大部分がそういう(厳しい)意見だったということ。

大相撲九州場所14日目が行われる福岡国際センターに到着した貴乃花親方(元横綱貴乃花)=25日、福岡市博多区

◇貴乃花親方への疑問も
 -日馬富士問題について、もっと迅速に調査せよとの要望は。
 委員長 ありました。こういうふうにいつまでも調査ができないのは協会のガバナンスの問題になってくる、だから早急にやれという意見はあった。協会側としては、全力を挙げてやっているがなかなか進まないという話だった。
 -進まない理由としては貴乃花親方の対応があるが。
 委員長 話題になった。委員との間でいろいろやりとりがあった。ただこの問題は横審のらち外なので、相撲界全体についての個人的な意見をみなさんが言った。貴乃花親方の姿勢はなかなか納得できない、不可解だと。この結果、弟子である貴ノ岩がこれからどうなっていくのかと考えると、ちょっとおかしいのではないか、あるいは理事という立場で協会全体が進めることをぶち壊すような動きをしているのではないか、という疑念、不可解だという意見がほとんど。みんなそうでした。
 春日野広報部長(元関脇栃乃和歌) 貴ノ岩が来場所も休場するという報告を貴乃花親方から受けている。
 委員長 親方の意思と関取本人の意思が本当に一致しているのだろうか。親方が力士一人の先行きを決めちゃっていいのだろうか。相撲界の伝統で、親方と弟子の関係はあるんだろうが、そういうことでいいんだろうかという疑問も出た。
 -収束時期のめどや、相撲界が盛り上がっている中で起きたこの問題が与えるダメージについて、委員長自身はどう考えているか。
 委員長 今、相撲は大変な人気で、特に女性のファンがすごく増えているのが目立つ。そういう中で、正常な社会秩序の中で暮らす人間全てに禁じられている暴力というものが起きた。大変なダメージだ。相撲ファンの期待を裏切るものだ。何年か前から協会が進めている、暴力をなくそうといういろんな努力をないがしろにするものだと思う。だからこそ早く…早くと言うと捜査や協会の調査を待たずに、と皆さん思うかもしれないが、それは先走りというもの。横審の規則にも書いてあるが、横審は協会の諮問を受けて答申する、協会の発議があってそれを審議するもの。それから、審議は協会が確認した事実に基づいてする。つまり審議委員会という偉そうな名前が付いているが、自分たちで調査する能力や権限や責任はない。何に基づいて判断するのかとなると、早く協会の調査を完結させてもらい、それを受けて審議し決議しようということ。

◇協会の調査に基づき審議
 -横綱が暴力を振るった行為は横審の処分の対象になるか。
 委員長 それはなると思う。ただ暴力が起きた経緯、軽重、後の処理についての動き、そうしたものが確定していない段階で、まるで何か事実が確定してそれについて判断したようになってはいけないということ。
 -次回の定例会合は初場所後になるが、協会の調査が済めば臨時の会合は開くか。
 委員長 そうなると思う。危機管理委の調査が終わった段階で、報告を受けて審議するための臨時の委員会を開くことになると思う。
 -きょうの報告を受けて、まだ足りないと思う点は。
 委員長 具体的には難しいが、まず被害者である貴ノ岩本人から話が聴けていない。どれぐらい殴られたのか、何発か、何で殴られたのか、いろんな話があるが、貴ノ岩から何の話も聴けていない。そばにいた白鵬からも聴けていない。貴乃花親方、日馬富士の師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)もまだ。事実の確定のためにまだそういう人たちの証言を得る必要がある。
 -横審としては、鳥取県警の捜査のめどがついても最終的には協会の調査を待たないと処分はできないというスタンスか。
 委員長 そう思う。協会としては警察の捜査よりも早く何が事実かを確認したいんだと思う。自助努力ということで。横審が基礎とするのは協会の調査結果。
 -貴ノ岩の調査ができないままの状況で判断を下すことはあり得るか。今後、貴ノ岩の調査ができる見通しは。
 委員長 それは私たちには何とも言えない。危機管理委がどの段階でどういうふうにこれが事実だと確認するか。その際、貴ノ岩の証言がどれだけの重みを持つものなのか、これは危機管理委の判断だと思う。
 -危機管理委の判断を待って、聴き取りが終わった段階で臨時の横審を開くということか。
 委員長 聴き取りというか、それも含めた調査結果の全体がはっきりした段階で、その報告を受けて開くことになる。
 広報部長 補足すると、何度にもわたって要請しているが、その結果が出ないということ。(2017/11/27-21:04) 関連ニュース

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