2017年10月30日月曜日

キタサンブラック、悪路で強さ 天皇賞春秋連覇

 スタート直後、普段なら先行集団にいるはずのキタサンブラックが、後方馬群に姿を隠した。ゲートが開く寸前に突進してぶつかり、出遅れたのだ。北島三郎オーナーは「どこに行ったかな」。想定外の序盤だったが、ここからが名手・武豊の真骨頂。馬群の内側、サトノクラウンの真後ろを進み、相手に歩調を合わせるように進出。直線の入り口では、早々と3番手に浮上していた。

秋の天皇賞を制したキタサンブラックと武豊騎手

秋の天皇賞を制したキタサンブラックと武豊騎手

 2000メートル換算で通常の良馬場より10秒も遅かった究極の悪路。もはやどこを走っても同じ、と武豊は、直線は他馬が避けた内柵沿いへ。先に抜け出した他馬をはじき飛ばすように伸びて一気に先頭。気を抜いてサトノクラウンに迫られたが、譲らずにG1・6勝目のゴールを切った。

 6月末の宝塚記念で9着と惨敗。2年1カ月ぶりに3着以内を外す衝撃の敗戦だったが、身体的な問題は見当たらず、清水久詞調教師は「『これ以上走ったら壊れてしまう』と思って(馬がレースを)やめたのかも」と頭を整理した。厳しい調教で鍛えられた馬ゆえの変調と自らを責めた。

 それから4カ月。驚くべき復元力で立ち直ったキタサンブラックの強さは、悪路で際立った。馬場を走らせた瞬間、武豊は「普通の馬とは違う体力」を感じ、「馬場はこなせる」と確信した。引退まで残る2戦はジャパンカップと有馬記念。過酷な秋初戦の疲れを克服し、現役生活を締めくくるか。(野元賢一)

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