2018年2月25日日曜日

融合した5人の輝き=聖地へ持ち帰るメダル-LS北見

カーリング女子3位決定戦で英国を破り銅メダルを獲得し、喜ぶ(左から)吉田知、藤沢、本橋、鈴木、吉田夕=24日、韓国・江陵

 目を潤ませた本橋麻里が若きメンバーに歩み寄る。一人一人と抱き合い、これまでの歩みが頭を駆け巡った。「みんなに感謝」。輝く銅メダル。全てが報われた。

〔写真特集〕カーリング女子~輝く銅!~

 2010年8月。五輪2大会連続出場の本橋はLS北見の結成記者会見で、かたくなに「五輪」という言葉を口にしなかった。選手もスポンサーもいない「まっさらなスタート」。五輪の重みが分かるから、簡単に言いたくなかった。
 地元の北海道常呂町(現北見市)を拠点とし、一歩ずつ階段を上り始めた。リードの吉田夕梨花とセカンドの鈴木夕湖は創設メンバー。夕梨花の姉でサードの知那美は、ソチ五輪出場後に北海道銀行から戦力外通告を受け、14年6月に加わった。実力者がそろいながら、15年の日本選手権は決勝で敗れ、なかなか世界への扉を開けない。
 小野寺亮二コーチは司令塔役のスキップ本橋に意を決して言った。「スキップを補強したい。(藤沢)五月が欲しい。でも、そうしたら麻里のポジションはないよ」。本橋は迷わずうなずいた。藤沢は11年から中部電力で日本選手権4連覇に導いた立役者。もう一度、五輪に出たい。そのために、本橋はチームの成長を最優先に考えた。

カーリング女子3位決定戦・英国戦の試合前に士気を高める日本チームの本橋(中央)と藤沢(右)=24日、韓国・江陵)

 15年5月に現在のメンバーがそろうと、間もなく本橋は長男を出産して休養に入る。これが、大きな変革をもたらした。経験豊富なリーダーに頼っていた4人が自立し、意見を主張するようになった。本橋が結成時に掲げた「五色のカラーで一つのチーム」へと成熟する転機。16年に日本選手権を初めて制し、世界選手権では日本勢初のメダルとなる銀を獲得した。
 癖のある石でも安定して投じる吉田夕、的確な判断力とスイープ力に優れた鈴木、ムードメーカーで潤滑油の役割を果たす吉田知、攻撃的な戦術を巧みに組み立てる藤沢。そして、常に出場する準備を怠らず献身的に支える本橋。5人の個性が融合すれば、世界で戦えることを証明した。今季、本橋が裏方のリザーブに回ったのも、4人に実力を発揮してもらうための最善の選択だった。
 本橋が声を掛けて集まったメンバー全員が現在の北見市出身。「帰ってきてよかった」。藤沢と吉田知は口をそろえる。五輪マークのように五つの輝きが重なり、常呂から世界へ羽ばたいた。日本で「カーリングの聖地」と呼ばれる故郷にメダルを持ち帰る。チーム結成から7年半、思いは実った。 (時事)(2018/02/25-00:22) カーリング 【カーリング特集へ】  関連ニュース

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