
(4日、選抜高校野球、大阪桐蔭5―2智弁和歌山)
「アルプスに先輩たちの姿が見えた。うれしいです」。紫紺の旗を取り戻した大阪桐蔭の主将、中川卓也の表情は晴れやかだった。
悪夢のような経験が、中川を突き動かしていた。
一塁手で出場した昨夏の甲子園3回戦。仙台育英を1―0でリードして迎えた九回2死一、二塁で遊ゴロが飛んだ。「ショートが二塁に投げてアウトを取ると思った」。気を緩めた瞬間、遊撃手は一塁へ送球してきた。慌ててベースへ入ろうとしたが、踏み外してセーフに。直後に逆転サヨナラ打を浴びた。
「すいませんでした」。夜の宿舎で3年生の部屋を順番に回り、頭を下げ続けた。そして最後。前主将の福井章吾さんの部屋に入った瞬間、泣き崩れた。
福井さんは言った。「お前のせいではない。まったくない。明日から元気を出してやれ。キャプテンでチームは変わるぞ。主将力や」。そして、使っていた打撃用手袋を託された。
前を向いた。仲間の先頭に立って声を出し続けた。「メンバーだけでなく、41人の部員全員で戦う」という考えは福井さんから受け継いだもの。上級生と下級生に意識の差があると思った1月、それまで同学年同士でやっていたキャッチボールを、上級生と下級生でやるように変えた。「あれで選手の競争意識が高くなり、チームが一段上がった」と西谷浩一監督。
41人をまとめあげてつかんだ優勝。だが、「これで終わりじゃない」と中川。「春夏連覇を狙って、やっていく」。それが、先輩たちへの恩返しだと思っている。(山口史朗)
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