2日に投開票が行われた日本相撲協会の理事候補選は、劣勢が予想された貴乃花親方(元横綱)が落選した。しかも、当選ラインを大きく下回るわずか2票。負け戦を覚悟した出馬だったとはいえ、1カ月前に理事解任処分を受けたばかりの元大横綱の立候補に、親方衆からの支持は全く集まらなかった。
貴乃花一門からは貴乃花親方と阿武松親方(元関脇益荒雄)の2人が理事候補選に出た。無所属の錣山親方(元関脇寺尾)ら3親方を含めて持ち票は11票とみられていたが、投票結果は貴乃花親方が2票、阿武松親方は8票と合計10票どまり。副理事候補選も、錣山親方が落選する憂き目を見た。
2010年から4期連続で理事を務めてきた貴乃花親方は、これまで一門の枠を超えて若手・中堅の親方衆を中心に協力を得てきた。今回は立候補当日の1日に部屋のホームページで「大相撲は誰のものか? その公益性の意味を考え直し、正す時期にきている」と訴えたが、支持は全く広がらなかった。
無謀な出馬だった。一門内で阿武松親方に一本化するなか、票読みの段階から勝算は見えなかった。元横綱日馬富士の暴行事件を巡って協会に報告を怠り、弟子の貴ノ岩の聴取要請も再三拒否するなどで、先月4日に理事解任の処分を受けたばかり。一般の会社役員であれば、処分からこの短期間で役員に復帰することはあり得ず、少なくとも今回は出馬を辞退して「1回休み」とするのが常識のように思えた。
貴乃花親方の狙いは何だったのか。投開票後、当選した貴乃花一門の阿武松親方はこう語った。「(理事候補の無投票当選ではなく、親方衆に)投票をしていただくことが、やはり相撲協会の活力になると私たちは話していた」。票数が伸びないことや落選は覚悟していたという。出馬が相撲協会の活力になったかは疑問だが、ある意味では目的は程度達成できたのかもしれない。
前日の昼には部屋のホームページに理事立候補の決意表明を掲載し、協会の現執行部を暗に批判しながら相撲界の理想像を説いた。沈黙を続けてきただけにインパクトは大きく、テレビのワイドショーや情報番組はこの話題で持ちきり。ネット上でもすぐにニュースとして取り上げられて拡散した。貴乃花親方は「とにかく行動あるのみ」と語ったことがあるように、そこに打算はないのかもしれない。だが、結果的に「次の理事選」へ向けても大きなアピールとなったのも間違いない。
貴乃花親方を中心とした劇場型ともいえる騒動が起き、そろそろ3カ月がたつ。角界には問題が山積しており、協会内で無用な対立をしている時間はないはずだ。ある中堅親方は「みんなで協力し合い、まとまっていくことが大事。足の引っ張り合いをしている場合ではない」と訴えている。(金子英介)
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