カーリング女子準決勝の韓国戦で、第11エンドに競り負け肩を落とす(奥右から)藤沢、吉田知=23日、江陵で(田中久雄撮影) |
カーリング女子の準決勝で惜しくも韓国に敗れた女子日本チーム、LS北見の藤沢五月(26)、吉田知那美(26)、吉田夕梨花(24)、鈴木夕湖(26)の四選手。あと一歩で決勝には届かなかったが、最後まで笑顔を忘れなかった。まだ銅メダルがある。
チームの合言葉は「キープスマイル」。主将で控えの本橋麻里(31)を含めた五人が北海道北見市出身で、失敗しても北海道なまりで「いいよー」と声をかけあった。敗退が決まると、ほほ笑みながら、歓喜する韓国チームの選手たちと握手を交わした。
ここまでの道のりは平たんではなかった。藤沢は高卒で入社した中部電力で二〇一一年から日本選手権四連覇を果たしながら一四年ソチ五輪を逃した。「メンタルが弱い」と悩み、「五輪に出られていないことがトラウマ(心的外傷)になった」と振り返る。
一〇年の設立メンバーの一人、吉田夕は四年前のことを語りだすと、いつも涙がこぼれる。ソチ五輪では当時北海道銀行に所属していた姉知那美が活躍。「お姉ちゃんすごいね」と周囲から「嫌になるくらい」に言われ、うんざりして競技をやめようとした。
一方の姉はソチ五輪最終戦の二日後、チームからそのシーズン限りでの契約満了を伝えられた。そのままソチに残り、メンバーと一緒にテレビ番組を行脚。事実を隠して笑顔をつくり続けたが、放送中にチームへの思いを聞かれて大泣きしてしまった。地元に帰り、「戦力外になったと思われるのがみじめ」と誰もいない時間を見つけ、一人で練習を続けた。
三人を誘い、競技に引き留めたのが、設立者で「チーム青森」時代に二度の五輪出場を果たした本橋。北見市は「カーリングの聖地」と言われながらチームがなく、次々とトップ選手が地元を離れていく状況を憂いていた。立ち上げ後は一からスポンサー探しに駆け回り、「地元で愛されるチームをつくろう」と三人を説得した。
一五年に現在の五人のメンバーで固まり、吉田知は「五輪で楽しむため、苦しいことも一つ一つ意味があると思ってやりたい」と激しい練習や海外遠征に耐えてきた。準決勝では敗れたものの、延長にもつれる接戦で、一次リーグ首位の韓国を追い詰めた。次は三位決定戦。こんどこそ、心の底から笑ってみせる。
(江陵・原田遼)
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