2017年9月30日土曜日

【オリックス】マレーロ、10万号記念会見は「ベース踏み忘れ記念Tシャツ」で登場

 「本塁踏み忘れ男」が、また本塁打で球史に名を刻んだ。オリックスのマレーロが29日のロッテ戦(ZOZO)で19号2ランを放ち、プロ野球通算本塁打が10万号に到達した。第1号から82年目。28日に9万9996号とし、あと4本となっていた。デビュー戦での来日1号が自身のうっかりで幻となり、“自作自演”のメモリアル弾となったマレーロには、日本野球機構(NPB)から賞金100万円が贈呈される。

 あのポカが、こんなドラマを呼ぶとは…。2点リードの6回2死一塁。4番マレーロが成田の高め速球をたたいた打球は、文句なしに左翼席へ飛び込んだ。今季19号2ランはプロ野球史に輝く10万号だ。球場のビジョンが記念弾を祝福する中、満面の笑みでダイヤモンドを一周し、両足で力強くホームイン。「いつもより本塁をしっかり踏みました」と胸を張った。

 5回にT―岡田が2ランを放ち大台にあと1本となったことを知ると、グラウンド整備中に「次、自分が打つ」とナインに宣言。その言葉通りの一発に「自分の名前が残るのはとてもうれしく思います。素晴らしい選手がたくさんいる中で、この10万号が回ってきたのは不思議なものを感じる」と感慨深げに振り返った。そう、すべてはあの事件から始まった。

 来日デビュー戦となった6月9日の中日戦(京セラD)。1点を追う5回無死一塁で“逆転2ラン”を運びながら、本塁を踏み忘れるミスを犯した(記録は三塁打)。珍プレーで一躍名をはせたが、衝撃はこれだけで終わらない。翌10日の同カードで、正真正銘の来日1号を打ち直した。踏み忘れがないよう念を入れて両足で本塁を踏んで以降、大事な習慣となった。

 「踏み忘れたことによって日本のファンの方に名前を覚えてもらったのはありますし、残念ですけど、それによってこのホームランがある」。幻の一発のせいで9万9999号になったT―岡田からは「賞金は半分半分」と要求されたが、マレーロは「たぶんそうはならない」と笑った。

 試合後の会見はお約束通り、球団が製作したベース踏み忘れ記念?Tシャツで登場。笑顔がトレードマークの29歳は、笑いのツボも心得ている。この日、今オフにも結婚を予定している婚約者で大学院生のデミさん(25)は神戸市内の自宅で観戦。熱い抱擁はお預けとなったが、賞金100万円は貴重な結婚資金となった。

 ナショナルズからドラフト1巡指名(全体15位)されたエリートだが、メジャーとマイナーの行き来、そして移籍を繰り返し、待望のメジャー1号を放ったのは今年4月だった。しかし、直後に戦力外となって日本へ。まさに、本塁打に一喜一憂する野球人生だ。

 来季契約も確実となっており、記念球は野球殿堂博物館に展示される予定。愛すべきナイスガイの名は日本の地で永遠に語り継がれる。(田島 正登)

 中日・松井雅(6月9日の試合で、マレーロの本塁踏み忘れを見逃さずアピールした捕手)「僕のおかげですよ! 賞金を分けてほしいです。(5000円くらい?)5000円じゃ足りないですよ」

 ◆幻の本塁打は20本もある!?

 試合が成立しながら本塁打がフイになったのはプロ野球で過去20度。マレーロのように自ら塁を踏み忘れた人は58年長嶋茂雄、81年ガードナー。他に、前の走者を追い越したり(9度)、タイム中だったため取り消されたケースなどがある。

 ◆クリス・マレーロ(Christopher Marrero)1988年7月2日、米国フロリダ州生まれ。29歳。モンシニョール・エドワード・ペース高から06年ドラフト1巡指名(全体15位)でナショナルズ入り。11年にメジャー初昇格し、今季ジャイアンツでメジャー初本塁打。6月にオリックス加入。メジャー通算54試合で打率2割9厘、1本塁打、16打点。191センチ、95キロ。右投右打。年俸40万ドル(約4500万円)。

Let's block ads! (Why?)

Read Again http://www.hochi.co.jp/baseball/npb/20170930-OHT1T50065.html

0 件のコメント:

コメントを投稿