2017年9月29日金曜日

ハリル監督、日本のポゼッション信仰を否定 データ示し重要なのは「1対1の勝利」

 日本サッカー協会は28日、10月の親善試合ニュージーランド戦(6日・豊田ス)、ハイチ戦(10日・日産ス)の日本代表24人を発表した。会見に出席したバヒド・ハリルホジッチ監督(65)は、発表直前に「少し話をしたい」と突然、データを提示しながら日本サッカー界のポゼッション(ボール保持)信仰を否定。異例とも言える約18分の“講義”で、デュエル(1対1)の重要性など自らの指針を改めて示した。川崎のDF車屋紳太郎(25)が代表初招集された。

 ハリル監督が突然、“先生”となった。「会見の前に少し話がしたい。多くの指導者がポゼッションに対して強迫観念に近いものを感じている」。用意されたホワイトボードの前に立つと約18分、通訳が追いつかない場面もあるほど興奮気味にまくし立てた。「日本に来てから指導者とも話したが日本サッカーの教育はポゼッションが中心だ。ただ、ポゼッションをしたから勝てるわけではない」。内容はボール保持率を高め勝利を目指すサッカーへの警鐘だった。

 言葉だけでなくデータも示した。27日に行われた欧州CLのパリSG対バイエルン戦。パリSGは、ボール支配率37・6%対62・4%、パス総本数368対568本と下回りながら、1対1の勝率では57・4%と上回り3―0で勝利した。指揮官は「デュエルガニエ(1対1の勝利)」とフランス語を用いて、現代サッカーではボール保持がすべてではないと指摘。関係者によれば、データは仏レキップ紙を参考にしたもの。前日まで“講義”は行う予定はなかったが、28日未明のCLを見て突然、報道陣への説明を思いついたという。

 14年ブラジルW杯で、日本は“自分たちのサッカー”を掲げ、ボール保持により相手を圧倒するサッカーで臨んだ。だが、蓋を開けてみれば1分け2敗で1次リーグ敗退した。「組織的、そして個人的な精神面、フィジカル、技術的な特徴をもとに日本独自のアイデンティティーを持たないといけない」。ハリル監督は、昨年10月のロシアW杯アジア最終予選で敵地に乗り込んだオーストラリア戦で、相手にボール支配を許しながら決定的な場面を作らせず1対1で引き分けた試合も例に出し、選手のコンディションや相手に合わせた戦い方をしてきたことを強調した。

 理想より現実―。「(サッカーは)不確実な科学だが、最終的にサッカーは結果のみが真実」。“ハリルの指針”が正しいかは、約9か月後のロシアW杯で証明される。(斎藤 成俊)

 ◆ハリル監督に聞く

 ―合宿に向けて。

 「チームは第3段階に突入した。W杯、これが最も厳しく、最も難しい。しかし、最もエキサイティングでもある。世界最高峰だと言われているチームと対戦するチャンスがある。成功するために我々は現時点からレベルを上げることを目指す。私は大きな意欲を持ってW杯に行きたい。(アルジェリアを率いて)ブラジルW杯で成し遂げたこと(16強)、まずそれを再現したい。言葉で言うのは簡単だが、それを実行しないといけない」

 ―対戦国の印象を?

 「ニュージーランドは(大陸間)プレーオフが残っている。ラグビーのようなスピリットを持って戦うチーム。オーストラリアと比較してもニュージーランドの方がアグレッシブかもしれない。選手たちにはW杯に向けての準備が始まっているという姿を試合で見せてほしい」

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