スクリーンにタイムがともると、山県亮太は一瞬、悔しさを飲み込むように口元を曲げ、それからほほえんだ。自己記録を100分の3秒更新しての10秒00。「次に向かっていいんだと思えた。それが良かった」。“日本最速”争いに再び戻ってこられた安堵感が広がった。
今季は、なかなか見せ場がなかった。3月に右足首を痛め、約3カ月も戦線離脱。脚の切り返しなど動きのキレが戻らず、8月の世界選手権代表を逃した。
追い打ちを掛けるように15日前、「失恋したようなショック」に沈む。長年、追い求めてきた「日本人初の9秒台」の栄誉を、桐生祥秀(東洋大)にさらわれた。喪失感に包まれながらもライバルに祝福のメールを送れたのは、白黒が付く世界に生きる覚悟ができていたからだ。
「自分の中に『勝者は常にたたえられるべきだ』という考えがあるから素直に称賛しました」
結果でしか語ることはできない。そう強く思うからこそ、前夜は午後11時前に布団に入ったが、レースをイメージして午前3時近くまで眠れなかった。
中盤までの加速に鋭さと力強さが出た決勝の走り。日本歴代5位までの他の記録は全て追い風1・8メートル以上。同0・2メートルで日本歴代2位タイをマークしたところに、より価値がある。「僕にもプライドがあるから」。復調の手応えをつかんだ25歳は、来月の国体で日本記録を狙いにいく。(宝田将志)
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